水晶の鹿


【生息地】
水晶の国
【概要】
水晶の国に生息する鹿型の生命体。
容姿・生態共に鹿に似ているが、その外見や構成物質は全て水晶(二酸化ケイ素の結晶物)である。
また、一般的な鹿に生えているであろう体毛が存在しておらず、表面はつるつるとしている。水晶で出来ている事も相まって水晶で出来た鹿の彫刻のように見えるだろう。
生きている間はその体躯はしなやかに動くが水晶と同様の硬さを持っており、刺突では歯が立たないだろう。その代わり打撃に弱い。また、攻撃を受けた際に血は流れず攻撃を受けた場所が砕ける。それらが回復する事は無く、1度砕けたらもう二度と治る事は無い。
また、攻撃を受けた際にその破損による衝撃や欠損による行動の鈍化等は見られるが、痛がる様子等は無い。痛覚が無いようだ。
砕けた破片は動かずただの水晶と同じになる。一般人が食す事は出来ないだろう。
しかし、一般的な鹿でいう心臓あたりにはアメジストで覆われた歪な丸型の柔らかい肉があり、その部分は食す事が出来る。味は鹿よりも牛肉に似ており、少し脂っこい。内臓のような臭みや苦味等は無くたいへん美味しく頂ける。
肉部以外に内臓は無いため、生殖・繁殖はしないように見受けられる。また、同様の理由により食事する様子も見られない。しかし、水晶の国にある葉やそこらの水晶を食べる事もあるようだ。その後はトラース『水晶の心臓』がある部分に向かい食した心臓を吐き戻している。
これらは『水晶の心臓』の精製条件「水晶が十分にある」を満たす為の働きのように見えるが、これを行う個体は少なく、それが『水晶の心臓』の為になっているかどうかは定かではない。
『水晶の心臓』よりこの鹿は生まれるが、産まれた時から成体の姿をしており、成長する事も老いる事もない。しかし肉部には寿命(約半年程)があり、肉部の寿命が尽きると皆『水晶の心臓』に向かいその近くで息絶える。
一般的な鹿のように生きては居るが、その内面は食事や排泄、生殖もしないただの水晶である。
生命体の目的である「種の存続」を考えずに生きていられるこの鹿達はただただ美しく水晶の国を彷徨っている。
まるで、人形のように。